いつまでも「しっかり噛める」ことは、毎日の食生活を充実させるため、生活の質を向上させます。
インプラントは第二の永久歯ともいわれています。
あごの骨にインプラント体を埋め込んでしっかり人工歯を固定することができるため、ご自分の天然歯と同様の噛み心地を実感できる治療です。

インプラントとは

インプラントは、身体の中に埋め込む医療用機器のことで、医科では人工関節や心臓のペースメーカーなどがあります。
歯科では歯を失った時に埋め込む「人工歯根」のことを指します。
歯が無くなってしまった部分のあごの骨に「インプラント体」を埋め込んで、その上に土台を立てて、人工歯を被せます。
ブリッジや入れ歯に比べて、天然歯と構造が似ているため、メリットの多い治療です。

インプラント治療がおすすめの方

・入れ歯が合わない
・周囲の歯の負担をかけたくない
・しっかり噛んで食事をしたい方
・見た目も天然歯のように自然な被せ物にしたい
・入れ歯のお手入れが面倒

上記の項目が当てはまる方はインプラントがおすすめです。カウンセリングでお気軽にご相談ください。

インプラントのメリット

自分の歯と同様の噛み心地を実感できる

歯を失って入れ歯にした場合、取り外し式なこともあり、「ずれる」「しっかり噛めない」など感じる方が多くなります。
日本インプラント学会が調べたところ、国内のインプラント治療を受けた患者さまの8割程度が「思っていた以上に違和感がない」7割程度の方が「思っていた以上に噛み心地がよい」と感じています。

インプラントはあごの骨とインプラント体が定着するため、安定感があり、天然歯と同じような噛み心地を実感できます。

ほかの歯に負担をかけない

ブリッジにする場合には、両隣の歯を大きく削って被せ物をする必要があります。
また、3本分の負担を2本の歯で支えるので、支えている歯は大幅に削られる上に負担がかかり続けるため、寿命が短くなってしまうこともあります。

部分入れ歯の場合には、入れ歯を支える歯にばねがかかったり、歯ぐきの部分で保持したりするため、ばねがかかる歯や粘膜部分に負担がかかります。
インプラントの場合には単独で治療ができるので、ほかの歯に負担をかけず治療が可能です。

見た目が自然

歯を失ったまま放置していると、見た目の違和感があります。
保険の部分的に入れ歯の場合、金属のばねがかかるので、話した時に気になる場合があります。
インプラントは、ばねなどをかける必要もなく、被せ物もセラミックの素材を選択することができるため、天然歯のような透明感を再現できます。

あごの骨が減りにくい

ブリッジや入れ歯は、食事をして噛んだ時に失った部分のあごの骨に刺激が伝わりません。
インプラントの場合には、あごの骨にインプラント体を埋め込むので、噛むたびにあごの骨に刺激が伝わります。
あごの骨に刺激が伝わらないと、あごの骨が減ってしまう原因になりますが、インプラントの場合には、刺激が伝わり続けます。
そのため、ブリッジや入れ歯に比べてあごの骨が減りにくいといえます。

インプラントのデメリット

治療費が高い

インプラントは自由診療になり、ほとんど保険が適用になりません。
そのため、保険が適用できる「ブリッジ」や「入れ歯」に比べると費用が高い傾向になります。

どの程度費用がかかるかは、歯科医院によっても異なりますし、あごの骨の状況によっても変わる場合があります。
これは、あごの骨が足りない場合には、骨造成の手術が必要になりますが、あごの骨が十分にある場合には、すぐにインプラント治療が可能になるためです。
そのため、あごの骨が少ない方ほど、費用が高くなる傾向になります。

治療期間が長い

インプラントは、あごの骨にインプラントが定着するまでの期間3~6ヶ月程度待つ時間があります。
きちんと定着したことを確認してから、次にステップに進むため、ブリッジや入れ歯に比べて治療期間が長くなる傾向になります。
ただし、あごの骨に定着するまでの期間はそれほど頻繁に通うわけではありませんので、ご安心ください。

インプラントの構造

インプラントの多くは、3つの構造に分かれています。

インプラント体(歯根部)

インプラント体は、あごの骨に埋め込む部分で、歯の根の役割をします。
材質はチタン製が多く、身体とのなじみもよい特徴があります。
インプラント体の長さや直径はさまざまで、あごの骨の状態やお口の状態を確認しながら、埋入するインプラント体を使い分けています。

また、身体の中に埋め込むため、アレルギー反応が出にくい点も大切です。
チタンは、人工関節にも広く使用されており、生体親和性が良く、アレルギーが出にくい材質です。

広く使用されているインプラント体はスクリューのタイプで、あごの骨に接触する面積が増えるため、この形状が多く使用されています。

アバットメント(土台の部分)

アバットメントは、土台の部分でインプラント体と被せ物をつなぐ接合部分です。
小さなパーツですが、アバットメントの大切な役割として、高さを調整する役割があります。
インプラントの埋入角度などを検討して、かみ合わせに対してより良い高さになるパーツが選択されます。

インプラントの中には、アバットメントとインプラント体が一体になって入る2ピースのものもあります。
ただし、あごの骨が十分にあることなど、条件を満たした方は埋入が可能です。
また、アバットメントにトラブルが発生した場合には、インプラント体ごと除去しなければいけないケースがあるので、注意が必要です。

人工歯(被せ物)

人工歯は、インプラントと土台の上に装着する被せ物です。
材質は「セラミック」や「ジルコニア」など変色しないものを選ぶことができるため、天然歯のような自然の透明感や色を再現できます。

インプラント以外の歯を失った時の治療法

歯を失った時の治療は、ブリッジ、入れ歯がありますのでご紹介します。

ブリッジ

失った歯の両隣の歯を削って、橋渡しのように左右の歯で人工歯を支えます。
両隣の歯が健康なことが条件になり、健康な歯を削らなければいけない場合もあります。
固定式なので、入れ歯に比べると安定感があります。
保険適用ができますが、材質が決められており、奥歯の場合銀歯になります。
前歯の場合には歯科用プラスチックの素材のため、経年変化で少しずつ黄ばんだように変色してしまうことがあります。

入れ歯

保険の部分入れ歯の場合、周囲の歯にばねをかける必要があります。
また、取り外し式なので、ほかの治療に比べて安定感が弱く、噛む力が弱い傾向になります。
保険は適用できますが、プラスチック製のため、経年変化で色が変色してしまい、粘膜に当たると痛みが出る場合があります。

インプラントとほかの治療の比較

治療法メリットデメリット保険適用
インプラント・見た目が自然 ・しっかり噛める ・固定式のため違和感が少ない ・周りの歯に負担をかけない  ・費用が高額 ・手術が必要になる ・治療に時間がかかるなし
ブリッジ・固定式のため違和感が少ない ・保険の場合費用を抑えられる ・治療期間が比較的早い ・噛む力を維持できる・左右の歯があることが条件になる ・左右の歯を大きく削る必要がある ・食べ物が挟まりやすいあり (材質による)
入れ歯・歯を失った本数に関わらず治療が可能 ・保険の場合費用を抑えられる ・治療期間が比較的早い・違和感を覚えやすい ・部分入れ歯はばねが気になることがある ・噛む力が衰えるあり (材質による)

インプラント治療の流れ

STEP1 カウンセリング

現在のお口の状態やお悩みを詳しくお伺いします。
また、インプラントの概要やメリット、デメリットについてもお話いたします。
疑問や不安を解消してから、インプラント治療をスタートすることが大切だと考えていますので、お気軽にご質問ください。

全身疾患がある場合には、主治医と連携を取って治療を行う場合もありますので、全身の健康状態について確認させていただくこともあります。

STEP2 精密検査

レントゲンやCTを撮影して、お口の中の状態やあごの骨の量や高さなどを確認します。
また、むし歯や歯周病がないかなどお口の健康状態もチェックします。
これらの精密検査の結果を元にシュミュレーションして、インプラントの種類や埋入位置なども決定します。

STEP3 治療計画のご提案

患者さまのお口の状態に合わせて、お一人お一人の治療計画を立案します。
インプラントを埋入するためのあごの骨が十分にない場合には、骨造成の手術をご提案いたします。
治療期間や治療の進め方など、納得していただくまで丁寧にご説明いたします。
患者さまに納得していただいてから治療をスタートしますので、気になることや不安なことはご相談ください。

STEP4 1次手術

局所麻酔をして、歯ぐきを切開し、あごの骨にインプラント体を埋め込みます。
そして、歯ぐきを縫合して1次手術は終了です。
インプラントの本数によって手術時間は異なりますが、30~90分程度です。

STEP5 2次手術

1次手術で埋入したインプラント体があごの骨に定着してから、2次手術を行います。
局所麻酔をして、歯ぐきを切開し、人工歯とインプラント体を結合する土台の部分の「アバットメント」を取り付けます。
2次手術の時間は1次手術より短く、30分程度です。

※一般的には1次手術と2次手術を行う2回法でインプラント手術をしますが、あごの骨の状態によっては1回で手術を行う方法もあります。

STEP6 被せ物の型取り

歯ぐきが治癒するのを待って被せ物の型取りをします。
被せ物の歯の色なども確認しますので、ご希望を伺います。

STEP7 被せ物の装着

後日、完成した人工歯を装着します。
インプラントは噛み合わせが強く当たり過ぎないことが大切なので、全体的な噛み合わせのバランスを確認します。

STEP8 メンテナンス

いつまでも快適にお使いいただくため、定期的なメンテナンスの通院をお願いしています。
インプラントの状態やお口の状況を確認して、全体的なクリーニングを行います。

インプラント手術後の注意点

インプラント手術直後は、粘膜が治癒過程なので、非常にデリケートになっています。
生活習慣で気をつけるポイントを抑えて、腫れや痛みが出ないようにしましょう。

食事

インプラント手術直後は麻酔が切れたことを確認してから飲食するようにしましょう。
麻酔で感覚が無くなっているため、熱い食べ物で火傷してしまったり、頬を咬んでしまったりする可能性があります。

また、インプラントを埋入した部分が傷口になっているため、刺激の強い辛いもの、硬いものは控えるようにしましょう。
特に手術後2~3日程度は、傷口に負担のかかりにくい「おかゆ」や「うどん」などがおすすめです。

お風呂、激しい運動、飲酒

血流が良くなると、腫れや痛みにつながりやすいため、インプラント手術当日はお風呂の入浴は控えましょう。汗を流すためにシャワー程度にしておきましょう。
また、激しい運動や飲酒も同様に血流を良くするため、手術当日は控えてください。

歯磨き

傷口は指示があるまで歯ブラシが当たらないようにしましょう。
そのほかの部分は汚れが残ってしまうと、お口の中の細菌が増殖して、傷口にもよくないため、丁寧に歯磨きしてください。

喫煙

たばこのニコチンは血流を悪くするため、傷の治癒がしにくい状態になってしまいます。
また、インプラントとあごの骨が定着するのを妨げてしまうため、控えるようにしましょう。

インプラント治療の注意が必要なケース

インプラント手術をするために、対応や準備が必要な場合がありますのでご紹介します。

あごの骨が足りない

インプラントをきちんと定着させるためには、あごの骨の高さや厚みが十分にある必要があります。
しかし、加齢や歯周病などであごの骨が減っている場合には、骨造成の手術が必要なケースがあります。
インプラント手術と同時に行う場合と骨造成の手術をして、骨が再生したことを確認してから手術するケースがありますので、治療計画の際にご説明します。

持病がある方

インプラントは外科手術が必要になるため、糖尿病、高血圧、心疾患、などの持病がある方は、主治医と連携を取りながら配慮が必要です。
また、これらの疾患が安定してコントロールできていることが条件になります。

妊娠中の方

妊娠中の方は、赤ちゃんのことを第一に優先して、できる限り負担のかからない治療を行います。
インプラント治療は外科治療を行うため、インプラント手術は妊娠中控えていただき、出産後に手術を行います。

インプラントQ&A

インプラント治療での痛みはどの程度ですか?

インプラント手術の際は、麻酔が効いていることを確認してから手術をするため、ほとんど痛みが感じることはありません。
また、術後の痛みも事前に鎮痛剤を服用することでコントロールします。
鎮痛剤は、状態によりますが2~3日内服して、その後は症状に応じて服用していただきます。

インプラントの費用が高額なので心配です…。

インプラントのほとんどが自由診療のため、費用が高額になりますが、確定申告をすることで医療費控除を受けることができます。
また、費用のお支払いについても医療用ローンやクレジットカードの分割払いを利用できますので、お気軽にご相談ください。

歯を失ってから時間が経過していますが、インプラントはできますか?

歯を失った期間が長いと、その部分に刺激が伝わらずあごの骨が減少している可能性があります。
そのため、あごの骨の再生を促す骨造成の手術が必要になる場合があります。
お口の状態によって異なりますので、お気軽にお問合せください。

まとめ

インプラントはブリッジや入れ歯などのほかの治療と比較すると、費用が高くなる点はありますが、「しっかり噛める」「ほかの歯に負担をかけない」「自然な見た目を手に入れられる」などメリットの多い治療です。
当院では、インプラント治療にも力を入れており、数多くの患者さまがしっかり噛める喜びを実感していただいています。

インプラント治療を検討されている方はぜひ1度カウンセリングでお悩みをご相談ください。